エミシズマブ(ヘムライブラ®皮下注)のわが国における 後天性血友病A承認取得に伴う適正使用のお願い


2022年6月27日

 
日本血栓止血学会会員・医療関係者各位

へムライブラ適正使用検討委員会(後天性血友病A)

 

エミシズマブ(ヘムライブラ®皮下注)のわが国における後天性血友病A承認取得に伴う適正使用のお願い

 
 
2022年6月20日、「ヘムライブラ®皮下注」[一般的名称:エミシズマブ(遺伝子組換え)]に対して、「後天性血友病A患者における出血傾向の抑制」にて効能又は効果の追加承認が与えられました。国内第III相臨床試験[(AGEHA(JO42003)試験]により後天性血友病Aに対する有効性が確認されたことによるものです。
一方、本剤は規制当局が規定する「医薬品リスク管理計画書(RMP)」にて、既存の適応症である先天性血友病Aとは異なる施設要件・医師要件が設定されており、後天性血友病A患者への使用開始にあたっては、測定プログラムへの参加(※1)または抗エミシズマブイディオタイプ抗体の提供(※2)により、血中エミシズマブ中和下でのFVIII活性及びインヒビター力価の測定が実施可能であること、並びに後天性血友病Aに対して本剤の使用経験がない場合には、中外製薬(株)が発行したID/パスワード によりe-learningを受講することが必要になります。これらのご対応の後、後天性血友病Aに対して本剤を使用することができるようになります。
 また、後天性血友病A患者に在宅自己注射を導入される際は次項<在宅自己注射移行時の留意事項>を確認の上、極めて慎重に導入の判断をお願い致します。
 言うまでもなく後天性血友病Aは先天性血友病Aとは異なる疾患であり、ケアにおいては先天性血友病Aとは異なる対応が必要であることをご理解いただき、本剤の適正使用をお願い致します。なお、この文書は適正使用に係る情報の概要をお示しするもので、詳細については、以下リンク先のへムライブラ適正使用ガイド(後天性血友病A)をご参照下さい。
 
中外製薬医師向けサイト:https://chugai-pharm.jp/content/dam/chugai/product/hem/sc/guide-lo/doc/hem_guide_lo.pdf
(※1) 中外製薬を介して、血中エミシズマブ中和下でのFVIII活性及びインヒビター力価の測定を行うプログラム
(※2) 中外製薬に試薬(抗エミシズマブイディオタイプ抗体)の提供依頼を行い、各医療機関で検査を実施
 
<後天性血友病A患者にヘムライブラを使用する前に必要なこと>
中外製薬に問い合わせの上、下記①、②をお願いします。
① 測定プログラムへの参加(※1)または抗エミシズマブイディオタイプ抗体の提供(※2)により、血中エミシズマブ中和下でのFVIII活性及びインヒビター力価が測定可能
② e-learningの受講(後天性血友病Aに対してヘムライブラの使用経験がない場合)
<後天性血友病A患者にヘムライブラを使用する場合にご協力いただきたいこと>
中外製薬からの依頼に基づき、極力下記へのご協力をお願いします。
③ 一般使用成績調査
 
上記について、製造販売元である中外製薬の医薬情報担当者又は下記窓口へお問い合わせ下さい。
【中外製薬 医薬情報問合せ窓口】
TEL: 0120-189-706 (医療関係者向け) 受付時間: 9:00~17:30(土・日・祝日ならびに当社休日を除く)
※ 上記時間帯以外は緊急時対応となりますが、同一番号で承ります。
WEBお問合せ:https://chugai-pharm.jp/inquiry/product-material/
 
<在宅自己注射移行時の留意事項>
在宅自己注射の対象となる患者は、医師により在宅自己注射による治療が妥当と判断された患者であり、かつ医療従事者による在宅自己注射の手技を含む十分な教育指導がなされているとともに、在宅自己注射の期間中は病状及びFVIII活性とFVIIIインヒビター力価のモニタリングのため、定期的に来院を継続することが可能な患者です。
後天性血友病Aでは、免疫抑制療法による寛解または自然寛解により内因性FVIII活性が正常化し、症例によっては正常値以上に増加することが知られています。FVIII活性の正常化後もヘムライブラの投与を継続することで過凝固の恐れがあるため、在宅自己注射へ移行する場合もFVIII活性等を遅滞なくモニタリングする必要があります。後天性血友病A患者にヘムライブラの在宅自己注射を行う場合は、少なくとも4週に1回は血中エミシズマブ中和下でのFVIII活性、FVIIIインヒビター力価を必ずモニタリングして下さい。なおモニタリング検査が提出されていない場合中外製薬担当MRより注意喚起が行われます。
 
 

【医薬品リスク管理計画書(一部抜粋)】

 
【リスク最小化活動】
施設要件
・本剤投与下でFVIII活性及びインヒビター力価を、遅滞なく適切な測定によってモニタリングをすることが可能な施設
医師要件 
・本剤に関する十分な知識を有する医師
・後天性血友病A診療の知識・経験を有する医師、またはそれらの医師と相談可能な医師
【医薬品安全性監視活動】 
  ・後天性血友病A患者を対象とした一般使用成績調査
 
 
 

【へムライブラ適正使用検討委員会 (後天性血友病A)】
【群馬大学医学部附属病院 血液内科 小川 孔幸
【奈良県立医科大学 血栓止血研究センター 嶋 緑倫
【東京医科大学 臨床検査医学分野 福武 勝幸
【名古屋大学医学部附属病院 輸血部 松下 正

 
 
中外製薬により設置された委員会で、医薬品リスク管理計画書にもとづくヘムライブラの適正使用推進のために適正使用ガイドの作成を担当しています