部会長: | 八木秀男 |
副部会長: | 小亀浩市 野上恵嗣 松本雅則 |
部会員: | 天野景裕 荻原建一 酒井和哉 澤田暁宏 田村俊寬 長尾 梓 西尾健治 日笠 聡 堀内久徳 松下 正 丸山彰一 宮川義隆 矢田憲孝 山川一馬 和田英夫 |
a) 第18回SSCシンポジウム
2023年7月に厚生労働省の「血液凝固異常症の調査研究班」からに新たな「TTP診療ガイド2023」が公開され、後天性血栓性血小板減少性紫斑病(thrombotic thrombocytopenic purpura: TTP)に対する新たな治療薬として抗VWF抗体薬であるカプラシズマブが従来の血漿交換療法と免疫抑制療法に併用することが推奨され、このトリプレット療法が標準治療として確立された。今回、この現状を踏まえてTTP診療における最新の治療について4名の専門医の先生に講演していただいた。
テーマ:TTPの最新の治療
1. TTP診療ガイド2023
(埼玉医科大学病院 血液内科 宮川義隆)
2. 化学発光酵素免疫測定装置を用いた新規ADAMTS13活性迅速検査の有用性
(奈良県立医科大学 血液内科 久保政之)
3. cTTPの最新治療
(兵庫医科大学 血液内科 日笠 聡)
4. 免疫原性血栓性血小板減少性紫斑病の最新治療
(奈良県立医科大学 輸血部 酒井和哉)
b) ガイドライン・診断基準・共同研究などの成果
1. 血栓性血小板減少性紫斑病診療ガイド2023の英文化(臨床血液学会雑誌、IJH)
2. 非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)診療ガイド2023 の発刊
3. VWDの疾患啓発活動:血液凝固疾患セミナー、血栓止血フォーラム、VWDセミナー、
女性の出血性疾患セミナー、市民公開講座などで講演
4. 「HIV感染血友病患者の救急対応の課題解決のための研究」班における「救急領域における止血機能異常症の診療ガイド 第二版」の作成とWEB化した止血.com
(https://shiketsu-guide.com/)の制作・公開
c) その他の活動
1.アパダムダーゼアルファ/シナキサダムダーゼアルファ:遺伝子組換えADAMTS13製剤(アジンマ)
先天性血栓性血小板減少性紫斑病の治療薬として2024年3月に保険承認
1) VWDの診断を目的としたVWFマルチマー解析自動化検査の本邦への導入。
2) 一般市民並びに医療者へのVWDの疾患啓発とボンベンディの適正使用を推進。
3) 後天性TTP初発例へのリツキシマブ適応拡大を要望。
4) アジンマの本邦における適正使用を推進。
5) 点鼻用(高濃度)デスモプレシン(Stimate® Nasal Spray)の国内承認
6) VWF:GP1bM自動化検査の本邦への導入
7) VWD/TMA部会の広報を目的としたYouTube動画作成
a) 第17回SSCシンポジウム
2021年に新たなVWD診療ガイドライドが発行されるも、VWD未診断症例が数多く存在することや、保険診療内で行える検査のみでは病型分類し得ないことなど多くの問題点が残されたままとなっており、4名の専門医の先生にVWDの診断における問題点とその解決策について講演いただいた。
テーマ:von Willebrand病の診断における現状とその課題、その解決を目指して
1. 本邦のVWD診療のガイドラインのオーバービュー
(兵庫医科大学 血液内科 日笠 聡)
2. VWD患者の出血症状の観点から
(荻窪病院 血液凝固科 長尾 梓)
3. フォン・ヴィレブランド病における遺伝子解析の意義と今後の展望
(奈良県立医科大学 小児科 古川晶子)
4. Easy-to-useな臨床血液検査によるVWDスクリーニングの観点から
(奈良県立医科大学 小児科 荻原建一)
b) ガイドライン・診断基準・共同研究などの成果
1) 血栓性血小板減少性紫斑病診療ガイド2023
臨床血液 64巻6号(2023年6月号)に掲載。
2) 非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)診療ガイド2023の発刊
3) VWDの疾患啓発活動
VWDオンラインアカデミー、血栓止血学会ランチョンセミナー、血液凝固異常症オンラインセミナー、血液凝固疾患セミナー、市民公開講座などで講演
c) その他の活動
1) カプラシズマブ(カブリビ)
2022年12月に血漿交換療法とステロイド療法に併用することで後天性血栓性血小板減少性紫斑病に保険承認。
2) 遺伝子組み換えADAMTS13製剤
国際治験が終了し、欧米並びに米国にて保険承認申請中。日本では1-2年後の承認を目指している。
1) 点鼻用(高濃度)デスモプレシン(Stimate® Nasal Spray)の本邦での販売並びに保険承認を要望。
2) VWDの診断を目的としたVWFマルチマー解析検査の保険承認、VWF:RCoの代わりにVWF:GP1bRやVWF:GP1bMの自動化検査の本邦への導入を要望。
3) 一般市民並びに医療者へのVWDの疾患啓発を推進。
4) TTP並びにaHUSの診療ガイド2023の普及。
5) 後天性TTP初発例へのリツキシマブ適応拡大を要望。
6) 遺伝子組み換えADAMTS13製剤の国内での早期保険承認を要望。
a) 第16回SSCシンポジウム
VWD、TTP並びにaHUSの診療ガイドラインに推奨される治療として新たな治療薬が登場している。これらの新規治療薬を有効かつ安全に使用するためにそれぞれの薬剤の作用機序や有効性、並びに注意するべき点について発表した。
テーマ:VWD/TMAにおける新規治療薬
1) ボンベンディ
(兵庫医科大学 血液内科 日笠 聡)
2) 後天性血栓性血小板減少性紫斑病に対するリツキシマブ
(埼玉医科大学病院 総合診療内科(血液)宮川義隆)
3) カプラシズマブの有効性と安全性
(奈良県立医科大学 輸血部 松本雅則)
4) 非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)に対する新規治療薬ラブリズマブ
(名古屋大学 丸山修一、立枩良崇、加藤規利)
b) ガイドライン・診断基準・共同研究などの成果
1) von Willebrand病(VWD)の診療ガイドライン
血栓止血学会誌 32巻4号(2021年8月号)に掲載され、学会HPに診療ガイドラインとして公開。
2) 血栓性血小板減少性紫斑病の患者さんが新型コロナウイルスワクチンの接種を受ける時の注意点
TTP患者用新型コロナウイルスワクチン接種留意点を部会として作成し、2021年4月5日に学会からのお知らせとして掲載
3) TTP診療ガイド2020の改訂並びにaHUS診療ガイド2015の改訂
厚生労働省科学研究費補助金難治性疾患等政策研究事業「血液凝固異常症に関する研究」班 (森下班)のTTP/aHUS 研究班 (松本班)にて両ガイドラインの改訂作業が行われて おり、部会のサポートで令和4年度に完成予定。
c) その他の活動
1) 遺伝子組み換えADAMTS13製剤
現在、国際治験が継続中。
2) カプラシズマブ(抗VWF抗体)
国内治験は終了し、承認申請されていることから令和4年度の認可を目指している。
1) 点鼻用(高濃度)デスモプレシン(Stimate® Nasal Spray)の本邦での販売並びに保険承認を要望。
2) VWDの診断を目的としたVWFマルチマー解析検査の保険承認、VWF:RCoの代わりにVWF:GP1bRやVWF:GP1bMの自動化検査の本邦への導入を要望。
3) TTP、aHUSのガイドライン改訂を部会としてサポートし、令和4年度での完成を目指す。
4) TTPに対する新規薬剤であるカプラシズマブの令和4年中の保険承認、遺伝子組み換えADAMTS13製剤の国際治験の推進並びに国内での早期保険承認を要望。
a) 第15回SSCシンポジウム
2020年1月よりわが国で新型コロナウイルスの感染が拡大し、2019年度のSSCシンポジウムは開催中止となった。2020年度のSSCシンポジウムはWEBで開催され、2019年度のシンポジウムで発表予定であった後天性von Willebrand症候群について、一部内容を更新して実施した。
テーマ:後天性von Willebrand症候群(aVWS)
1. オーバービュー
兵庫医科大学血液内科 日笠 聡
2. 血液疾患に合併するaVWS
藤枝市民総合病院 毛利 博
3. 循環器疾患に合併するaVWS
東北大学加齢医学研究所 基礎加齢研究分野 堀内久徳
4. 機械的補助循環に合併するaVWS
東北大学外科病態学講座・心臓血管外科学分野 齋木佳克
b) ガイドライン、診断基準、共同研究などの成果
・ von Willebrand病(VWD)の診療ガイドライン
作成中であったvon Willebrand病(VWD)の診療ガイドラインは、2020年内に最終案の作成が終了し、ガイドライン管理委員会および理事会にて承認された。その後COI委員会に著者、作成協力者のCOIを提出し了承を得たため、血栓止血学会誌 32巻4号(2021年8月号)に掲載予定である。
c) その他の活動
・ 出血性疾患患者のための新型コロナウイルスワクチン接種に関するガイダンス作成
新型コロナウイルスに対するワクチン接種が開始されることにともない、日本血栓止血学会、日本血液学会合同で「血友病・フォン・ヴィレブランド病を含めた凝固・線溶系、血小板の異常症により出血傾向を有する患者さんが新型コロナワクチン接種を受ける際の注意点」を作成した。
・ 血栓性血小板減少性紫斑病患者のための新型コロナウイルスワクチン接種に関するガイダンス作成
血友病・フォン・ヴィレブランド病のものとは別に、VWD/TMA部会で「血栓性血小板減少性紫斑病の患者さんが新型コロナウイルスワクチンの接種を受ける時の注意点」を作成した。
・ 点鼻用(高濃度)デスモプレシン(Stimate® Nasal Spray)の本邦での販売並びに保険承認を要望。
・ VWDの診断を目的としたVWFマルチマー解析検査の保険承認、VWF:RCoの代わりにVWF:GP1bRやVWF:GP1bMの自動化検査の本邦への導入を要望。
・ TTP、aHUSのガイドライン改訂を部会としてサポートして進める。
・ TTPに対する新規薬剤である遺伝子組み換えADAMTS13製剤、およびカプラシズマブの保険承認を要望
a) SSCシンポジウムの準備内容
テーマ:後天性von Willebrand症候群(aVWS)
プログラムと発表者(敬称略):
1.オーバービュー: | 兵庫医科大学血液内科 日笠 聡 |
2.血液疾患に合併するaVWS: | 藤枝市民総合病院 毛利 博 |
3.循環器疾患に合併するaVWS: | 東北大学加齢医学研究所 基礎加齢研究分野 堀内久徳 |
4.機械的補助循環に合併するaVWS: | 東北大学外科病態学講座・心臓血管外科学分野 齋木佳克 |
b) ガイドライン、診断基準、共同研究などの成果
・von Willebrand 病(VWD)の診療ガイドライン(作成中)
von Willebrand 病の治療薬である、血漿由来von Willebrand因子含有凝固第VIII因子製剤(コンファクト®)の添付文書の変更、および新規遺伝子組換えvon Willebrand因子製剤(ボンベンディ®)の発売開始が2020年春に予定されていたため、ガイドラインは一時作成を中断ていたが、両製剤の概要が明らかとなってきたため、それを基に最終案を作成した。
c) その他の活動
・VWD/TMA部会の新規メンバーとして、名古屋大学大学院医学系研究科 病態内科学講座腎臓内科学教授の丸山彰一先生と天理よろず診療所病院循環器内科の田村俊寛先生にご参加いただくこととなった。
・上記遺伝子組換えvon Willebrand因子製剤(ボンベンディ®)の発売に関して、発売直後より在宅自己注射療法が可能となるよう、「ボニコグアルファ(遺伝子組換えフォン・ヴィレブランド因子製剤、商品名ボンベンディ)の在宅医療における自己注射保険適応の要望書」を作成、日本血栓止血学会理事長の嶋 緑倫先生の名前で厚生労働省保険局長に提出した。
von Willebrand 病(VWD)の診療ガイドライン発刊
点鼻用(高濃度)デスモプレシン(Stimate® Nasal Spray)は日本で未発売の薬剤であるが、von Willebrand 病の有効な治療薬であり、本邦での販売を要望していく
a) SSCシンポジウム
血栓性微小血管障害(TMA)には、ADAMTS13欠乏による血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)/Upshaw-Schulman症候群(USS)、志賀毒素産生大腸菌による溶血性尿毒症症候群(STEC-HUS)、補体制御機構の異常による非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)以外に、種々の基礎疾患を元に発症する二次性TMAがあるが、その発症機序は解明されておらず、診断・治療も確立していない。そこで今回のシンポジウムでは、膠原病、腎移植、妊娠の3つの基礎疾患における二次性TMAについて、それぞれの領域の専門家にご講演いただいた。あわせて、TTPに関する最新情報とvon Willebrand病(VWD)ガイドラインの作成状況を、部会委員(松本・日笠)より発表を行った。
b) ガイドライン、診断基準、共同研究などの成果
von Willebrand 病(VWD)の診療ガイドライン(作成中)
・VWDについては、von Willebrand 病の診療ガイドラインの作成中だが、治療薬剤の添付文書変更が予定
されており、その後の発刊を計画している。
・病態解明が進んでいるTTP、STEC-HUS、aHUS以外の二次性TMAについて、新規部会員を招聘し、病態
解明ならびに診断・治療の確立に尽力する予定である。
a) SSCシンポジウム
VWD/TMA部会では現在von Willebrand 病(VWD)診療ガイドラインを作成中であり、今回のシンポジウムでは、ガイドラインの草案を示し、作成に当たっての検討事項について以下の通り発表した。
1.診断
奈良県立医科大学小児科 野上恵嗣
2.遺伝子検査による分類
名古屋大学輸血部 松下 正
3.治療
兵庫医科大学血液内科 日笠 聡
4.後天性von Willebrand 症候群(血液・免疫疾患)
藤枝市立総合病院 毛利 博
5.後天性von Willebrand 症候群(循環器疾患)
東北大学加齢医学研究所基礎加齢研究分野 堀内久徳
b) ガイドライン、診断基準、共同研究などの成果
von Willebrand 病(VWD)の診療ガイドライン(作成中)
c) その他の活動
平成29年4月より、部会長が奈良県立医科大学輸血部の松本雅則先生から兵庫医科大学血液内科の日笠に交代した。副部会長は、奈良県立医科大学輸血部の松本雅則先生、国立循環器病研究センター分子病態部の小亀浩市先生、奈良県立医科大学小児科の野上恵嗣先生の3人にお願いしている。
・VWDについては、von Willebrand 病の診療ガイドラインの作成を引き続き継続し、
完成を目指す。
・TMAについては、TTPだけではなく、STEC-HUS、aHUS、移植後TMA
その他のTMA(膠原病などについて、検討していく。
・VWD・TMAに関わる若手医師を部会員として新たに招聘する。
第11回SSCシンポジウムでシンポジウムを開催した。
テーマ VWD/TMAの診断と治療の進歩
1部 von Willebrand 病(VWD)
座長 松下正(名古屋大学 輸血部)
1) 血流下血栓形成測定装置によるvon Willebrand病の機能的診断と治療モニタリング – 奈良医大の経験から
野上恵嗣(奈良県立医科大学小児科)
2) 標準化したVWFマルチマー解析によって評価した循環器疾患随伴AVWSの重症度と出血性合併症の関係
堀内久徳(東北大学加齢医学研究所)
3) VWD診療ガイドラインの作成状況
日笠聡(兵庫医科大学血液内科)
2部 血栓性微小血管症(TMA)
座長 小亀浩市(国立循環器病研究センター研究所)
1) 血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)診療ガイドの作成状況
松本雅則(奈良県立医科大学輸血部)
2) 「非典型溶血性尿毒症症候群診療ガイド2015」の解説と、今後の課題
加藤秀樹(東京大学腎臓内科)
3) 造血幹細胞移植後TMAの診断と治療について
上田恭典 (倉敷中央病院 血液内科)
本部会の対象疾患は、von Willebrand病(VWD)と血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の2疾患であったが、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)や造血幹細胞移植後の血栓性微小血管症(TMA)なども対象疾患とするため、本年度からVWDとTMAの2疾患を対象とし、VWD/TMA部会と名称変更をした。次年度以降の活動として、VWDにおいてはガイドライン作成と循環器疾患における後天性von Willebrand症候群の疫学調査が予定されている。TMAにおいては、日本の非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)についての正確な頻度の調査と造血幹細胞移植後TMAの病態解明を実施する予定である。
1.今年度の活動報告
第10回SSCシンポジウムでシンポジウムを開催した。
テーマ「VWD/TTPの話題」
I. VWD
座長:日笠 聡(兵庫医科大学 血液内科)
1.血流下血栓形成測定装置によるVWDの機能的診断と治療モニタリング
野上恵嗣(奈良県立医科大学 小児科)
2.遺伝子検査によるVWDの分類
松下 正(名古屋大学医学部附属病院 輸血部)
3.エクソーム解析によるVWDの遺伝子解析の試み
三田直美 (名古屋大学医学部附属病院 医療技術部)
II. TTP
座長:和田英夫(三重大学大学院医学系研究科臨床検査医学)
1.先天性TTP/USS遺伝子解析の現状
小亀浩市(国立循環器病研究センター 分子病態部)
2.TTPの治療ガイドライン作成状況
松本雅則(奈良県立医科大学 輸血部)
2.来年度の活動計画
本部会は、von Willebrand因子(VWF)の機能低下と機能亢進を示すVWDとTTPという2つの疾患を対象としてきた。TTPは現在ではVWF切断酵素(ADAMTS13)活性著減によって診断されるが、臨床症状が類似した溶血性尿毒症症候群(HUS)などが存在する。それらのTTP類縁疾患をすべて包括した血栓性微小血管症(TMA)を次年度から本部会の対象とする。特に非典型HUS(aHUS)や造血幹細胞移植後TMAについて、検討していきたいと考えている。
1.第9 回日本血栓止血学会学術標準化委員会(SSC)シンポジウムでのシンポジウムの開催
今年の成果を報告し、活発な議論が行われた。
テーマ「VWD/TTP の診断と治療の進歩」
第1 部 VWD 座長:西野正人(奈良県西和医療センター)
1-1. 循環器疾患に合併する後天性VWD の解析
堀内久徳(東北大学加齢医学研究所基礎加齢研究分野)
1-2. 血流下血栓形成測定装置によるVWD の機能的診断と治療モニタリング-奈良医大の経験から
野上恵嗣(奈良県立医科大学 小児科)
1-3. VWD 診療ガイドラインの作成状況
日笠 聡(兵庫医科大学 血液内科)
松下 正(名古屋大学 輸血部・検査部)
第2 部 TTP 座長:西尾健治(奈良県立医科大学 総合医療学)
2-1. 先天性TTP(USS)の分子診断
小亀 浩市(国立循環器病研究センター 分子病態部)
2-2. TTP の診断基準について
松本雅則,藤村吉博(奈良県立医科大学 輸血部)
2-3. 再発・難治性TTP に対するリツキシマブの医師主導治験
宮川義隆(埼玉医科大学医学部 総合診療内科・血液内科)
2.次年度の計画
1)VWD診療ガイドラインの作成(継続)
2)TTP治療ガイドラインの作成
3)新たなメンバーの追加 (上記の堀内先生、宮川先生に加わっていただく)
文責 VWD/TTP部会長 奈良県立医科大学 輸血部 松本雅則
1. | 部会長が松下先生から松本に交代し、新部会員として奈良医大の野上先生に加わって頂いた。 |
2. | VWD診療ガイドライン作成について、ガイドライン担当副委員長となった松下先生から説明があった。松下、野上、日笠、毛利先生に主担当者となり、松本、上田、西尾、小亀先生が副担当者としてサポートする。 |
3. | VWD診療ガイドライン作成委員会の設置を理事会に申請し、許可されたことが報告された。 |
4. | 次回10月に会議を開催するので、担当者にCQに対する論文収集をお願いした。 |
1. | 松下先生(VWD診療ガイドライン作成担当副委員長)から一般的なガイドライン作成の流れの解説があった。また、論文の評価についてGRADEシステムを基準にして、4段階で行うことなどの説明があった。 |
2. | VWD診療ガイドライン作成に向けたクリニカルクエスチョン(CQ)に対する参考論文の収集状況について検討した。担当者である松下先生、野上先生、日笠先生、毛利先生からそれぞれCQと論文の収集状況について報告があった。 |
3. | 今後の予定として平成26年2月22日のSSCシンポジウムの時に次回の会議を開く。それまでに、収集した論文の内容を検討し、CQに対応して収集された論文に対する評価を完成させメール審議にて情報交換することが確認された。 |
1. | 松本:TTPグループの方の最近の状況の報告 ・TTP診断ガイドラインは、昨年11月に英国のガイドライン作成責任者Scully先生を日本にお招きし、意見を伺った。 ・リツキシマブのTTPに対する適用拡大のため、本年1月から医師主導治験が開始された。 |
2. | 松下:このガイドライン作成責任者として、説明があった。 ・論文の評価にあたっては「エビデンスのレベル」の評価は行うが、「エビデンス総体の強さ」を4段階で評価し、推奨の決定にあたってより重視することとした。 ・ガイドラインを公表する際には、作成委員・協力委員メンバー全員のCOIを記載することを確認した。 |
3. | CQの解析状況の説明 松下、野上、日笠先生からCQの解析状況が報告され、意見交換を行った。 |
1) | 部会員異動の件 西野委員から業務多忙につき退会の申し出があったが、VWDについては国内に専門家が少ないことから再度とどまって頂けるようお願いし、副部会長職を日笠委員に交代して頂く事になった。 |
|
2) | SSC 2011について 松下部会長から昨年のISTH SSC VWF部会(Subcommittee on VWF)議事録に基づき、現在ISTH SSCで討議されている話題について紹介があった。bleeding scoreについて現在もその使い方について討議が行われていること、ADAMTS13活性測定の標準化についてプロジェクトが進んでいることが紹介された。松本委員からISTH SSC Co-chairの藤村委員(欠席)のもとにreference plasmaが送付されている旨報告があった。 |
|
3) | VWDの診療ガイドライン策定に向けて 松下部会長から前回のJSTH SSCシンポジウムのスライドを元に欧米のガイドライン(NHLBI, UKHCDO)の概要が紹介され、日本の現状に比べての相違点につき討議を行った。VWDについては診断ステップが明確でないこと、ISTH SSCのBleeding Scoreの扱い、遺伝子検査実施方法について意見交換を行った。目下のところは欧米のガイドラインを参考にしながら、まずは診断ガイドラインについて、(1)日本の診療状況をアンケート調査などで把握、(2)文献のエビデンスをgrading、(3)メンバーで項目を分担してたたき台を作成、並行して(4)理事会にガイドライン作成委員会の設置を申請することとなった。(1)についてはVWDの診療を実際に行っていると思われる血友病部会参加施設に対してアンケート送付を行ってはどうかという意見があった。また(2)の作業にはマンパワーを要することから部会参加施設の若手メンバーをピックアップして部会内に作業部会を作成してはどうかという意見があった。 |
|
4) | 2012年度活動計画 前項4)(1)に関連して、アンケート案を作成して血友病部会に諮ってはどうかという意見があり、本年9月30日に開催が内定している血友病部会と合同部会を持ってはどうかという意見があり、天野部会長に打診することとなった。 2013年1月12日に開催されるSSCシンポジウムに当部会としてシンポジウム開催を申し込むこととし次回詳細を検討することとした。 |
|
5) | その他 松本委員からADAMTS13活性測定キットの保険収載について報告があった。臨床性能試験などがまだ十分終了していないのではないかとの指摘があり、部会としても可能な限り推進をサポートしていくこととなった。 |
1 | 本邦におけるTMAの解析状況 | 藤村吉博先生 | |||
2 | ADAMTS13の基準値と遺伝子多型 | 小亀浩市先生 | |||
3 | aHUSの遺伝子解析 | 宮田敏行先生 | |||
4 | TMAの鑑別診断と治療の標準化 | 松本雅則先生 | |||
5 | 質疑応答 |
2 ミニシンポジウム2 VWD診療の標準化
1 | VWD診療ガイドライン:現況、アンケート調査結果の報告 松下 正 | ||||||||||||||||||||
2 | Overview – 我が国におけるVWD遺伝子検査のありかた
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血小板・VWF専門部会の平成15年度の活動として、厚生労働省科学研究「血液凝固異常症に関する調査研究班(班長:慶應義塾大学医学部教授 池田康夫先生)」と共同で以下の7疾患の一次調査を行った。本専門部会の対象疾患は1 – 4である。
本年度は上記の1 – 4の疾患につき、現在や過去の症状および治療法を中心に質問し、2次アンケート調査を行う。2次調査の対象となる症例数は、血小板無力症94例、Bernard-Soulier症候群25例、先天性VWD 253例、後天性VWD 25例である。
これらの結果を集計し、平成16年11月に奈良市で行われる日本血栓止血学会学術総会のシンポジウムで報告する予定である。
血小板・VWF専門部会は、平成15年度の活動として、厚生労働省科学研究「血液凝固異常症に関する調査研究班(班長:慶應義塾大学医学部教授 池田康夫先生)」と共同で以下の7疾患のアンケート調査を行った。このうち本専門部会が対象とする疾患は1-4である。
調査対象は、日本血液学会研修施設515施設の小児科および血液内科の994カ所である。5月に調査票を郵送し、12月までに429施設(43%)から回答があり、そのうち2次調査に協力可能と回答があったのは392施設であった。
アンケート調査によって得られた患者数(2次調査可能症例数)は、血小板無力症101例(94例)、Bernard-Soulier症候群27例(25例)、先天性VWD269例(253例)、後天性VWD25例(25例)、先天性TTP14例(14例)、後天性TTP167例(159例)HUS 223(192例)であった。