新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連情報
=新型コロナウイルスワクチン接種上の注意=
#1.ITP患者に接種後の血小板減少症発症報告
#2.PNH患者に接種後の溶血発作発症報告
#1.単施設でITP患者全員にワクチン接種を勧め、連続する52例(8%ジョンソンアンドジョンソン、46%モデルナ、46%ファイザー)のワクチン接種後の経過を観察したところ、6例(12%;ジョンソンアンドジョンソン1,モデルナ1,ファイザー4)で出血症状を伴う重篤な血小板減少(0.1万~1.7万/μL)が観察されました。6例中4例のITPは寛解状態にあり、うち3例は無治療の状態でした。血小板減少後のPSL反応性は良好であったと報告されております。著者らは、ITP患者はワクチン接種前後の3-7日目の血小板値の測定を推奨しています。
Kuter DJ. Exacerbation of immune thrombocytopenia following COVID-19 vaccination. Br J Haematol. 2021 Jun 1:10.1111/bjh.17645. doi:10.1111/bjh.17645.
学会からのコメント:
ITP患者におけるワクチン接種後の血小板減少の機序は明らかではなく、たとえ寛解状態の患者であっても、ワクチン接種後は1週間以内の早期に血小板減少や出血傾向の有無に注意する必要があると考えられます。
#2. PNH患者6例にmRNAワクチンを接種したところ、3例で接種当日もしくは翌日に溶血発作(Hb 2.7~4.1g/dL低下)の発症が観察されました。3例はいずれもRavulizumabを4週前に投与されていたと報告されております。著者らは、エクリツマブ投与1週間以内、ラブリツマブ投与4週間以内にワクチン接種を推奨しています。
Gerber GF, et al. COVID-19 vaccines induce severe hemolysis in paroxysmal nocturnal hemoglobinuria. Blood. 2021 Jul 1;137(26):3670-3673.
学会からのコメント:
PNH患者におけるワクチン接種後の溶血発作発症の機序は明らかではなく、Eculizumab Ravulizumabなどの抗体治療の有無に関わらず、ワクチン接種後は溶血発作の出現に注意する必要があると考えられます。
#1,2どちらも比較的少数例の報告ですが、臨床上重要と考えられ、情報提供いたします。詳細に関しては、原著をご確認ください。